Yoshihiro Yoshihara

 

独立行政法人理化学研究所

脳科学総合研究センター シナプス分子機構研究チーム

チームリーダー 薬学博士

 

住所351-0198 埼玉県和光市広沢2-1

Tel048-467-1699

Fax048-467-2306

e-mail: yoshihara@brain.riken.jp

URL: http://www.brain.riken.jp/bsi_j/y_yoshihara.html

【略歴】

1984年 京都大学 薬学部卒業

1989年 京都大学大学院 薬学研究科修了

1989年 大阪バイオサイエンス研究所 神経科学部門 特別研究員

1992年 大阪医科大学 医化学教室 助手

1992年 大阪医科大学 医化学教室 講師

1996年 大阪医科大学 医化学教室 助教授

1998年 理化学研究所 脳科学総合研究センター チームリーダー

 

【研究課題名】

終脳特異的細胞接着分子テレンセファリンの樹状突起選択的局在機構の解明

 

 神経細胞は軸索と樹状突起という構造及び機能の全く異なった2種類の神経突起を有する。一般に神経細胞の軸索の一部がシナプス前終末部を形成し、樹状突起あるいは細胞体がシナプス後部を形成する。すなわち軸索と樹状突起は神経伝達の方向性を決定しており、その接点であるシナプスを介して複雑であるが秩序立った神経ネットワークが構築され、脳が機能する。神経細胞における極性および細胞内トラフィックに関するこれまでの研究は初代培養神経細胞を用いたin  vitroシステムが主流であり、調製・遺伝子導入が簡便であるという利点はあるものの、神経ネットワーク及び環境要因を無視しているという大きな欠点が存在していた。この問題点を克服するために私たちは平成16、17年度本研究班公募班員として、神経細胞の極性・トラフィック機構の研究のためのin  vivoシステムの開発に成功した(J. Neurosci. 2005)。具体的にはトランスジェニックマウス技術を駆使し、小脳プルキンエ細胞、海馬歯状回顆粒細胞、線条体神経細胞などをモデルニューロンとし、私たちが発見・解析を行っている終脳特異的樹状突起性細胞接着分子テレンセファリン (TLCN, ICAM-5) をモデル分子として研究を行い、その樹状突起選択的ソーティングシグナルを同定した。平成18、19年度においては、TLCNの細胞内領域結合分子の同定、他の樹状突起特異的あるいは軸索特異的局在分子のターゲティングシグナルの同定とその分子メカニズムの解析を行う。以上のような研究戦略によって、神経細胞内トラフィックの全体像の解明を目指すことを最終目標とする。

 

【本研究に関連する代表的論文3編】

1. Mitsui, S., Saito, M., Mori, K., Yoshihara, Y. (2006) A transcriptional enhancer that directs telencephalon-specific transgene expression in mouse brain. Cereb. Cortex, in press.

2. Matsuno, H., Okabe, S., Mishina, M., Yanagida, T., Mori, K., Yoshihara, Y. (2006) Telencephalin slows spine maturation. J. Neurosci. 26, 1776-1786.

3. Mitsui, S., Saito, M., Hayashi, K., Mori, K., Yoshihara, Y. (2005) A novel phenylalanine-based targeting signal directs telencephalon to neuronal dendrites. J. Neurosci. 25, 1121-1131.

 

【今一番やりたいこと・言いたいこと】

 神経細胞の形態形成・脳機能発現のための分子輸送メカニズムの解明に迫り、本研究班に貢献したいと思っています。