鈴木 利治 Toshiharu Suzuki
国立大学法人北海道大学
大学院薬学研究院 神経科学研究室
教授 理学博士
住所:060-0812 札幌市北区北8条西7丁目
Tel:011-706-3250
Fax:011-706-4991
e-mail: tsuzuki@pharm.hokudai.ac.jp
URL:
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/3372/index2.html
略歴】
1979年山形大学理学部卒
1985年名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了
1985年基礎生物学研究所助手
1990年米国ロックフェラー大学留学
1992年米国ロックフェラー大学客員助教授
1994年東京大学薬学部助教授
2001年北海道大学大学院薬学研究科教授
【研究課題名】
膜小胞輸送における新規カーゴ受容体Alcadeinの機能解析
Alcadeinは、アルツハイマー病(AD)原因遺伝子産物であるアミロイド前駆体タンパク質APPと神経細胞内で細胞質アダプタータンパク質X11Lを介して複合体を形成している神経特異的なI型膜タンパク質である。X11Lの解離によりAPPとAlcadeinは協調的な切断を受け、APPからβ-アミロイド(Aβ)、Alcadeinからβ-Alcが生成する。APPとAlcadeinはAD患者の老人斑周辺に認められる病理である腫大神経突起部に蓄積しており、軸索輸送を受けるタンパク質であることが考えられていた。最近、APPがJIP1bを介してキネシンIモーターと接続し輸送される報告が相次ぎ、我々はAlcadeinがキネシンIモーターに直接結合するカーゴ受容体であることを見いだした。ゴルジ体および神経末端で複合体を形成しているAPPとAlcadeinは、独立の膜小胞で異なる速度で同じモーター分子によって軸索輸送される。APPとAlcadeinの協調的軸索輸送機構とAD発症との関連性を解析しつつ、AlcadeinがキネシンI受容体として小胞輸送をどのように制御しているのかを解明する。
【本研究に関連する代表的論文3編】
1.
Araki, Y., Miyagi, N., Kato, N., Yoshida, T., Wada, S.,
Nishimura, M., Komano, H., Yamamoto, T., De Strooper, B., Yamamoto, K., and Suzuki,
T. (2004) Coordinated metabolism of Alcadein and amyloid b-protein
precursor regulates FE65-dependent gene transactivation. J. Biol. Chem. 279, 24343-24354.
2.
Araki, Y., Tomita, S., Yamaguchi, H., Miyagi, N., Sumioka,
A., Kirino, Y.,and Suzuki, T. (2003) Novel cadherin-related membrane
proteins, Alcadeins, enhance the X11-like protein mediated stabilization of
amyloid b-protein
precursor metabolism. J.
Biol. Chem. 278, 49448-49458.
3.
Taru, H., Iijima, K., Hase, M., Kirino, Y., Yagi, Y. and Suzuki,
T. (2002) Interaction of APP family protein with scaffold proteins of the
JNK signaling cascade. J. Biol. Chem.
277, 20070-20078.
【今一番やりたいこと・言いたいこと】
もともと生化学屋であったが、機能解析を進めている分子の多くが小胞輸送に関連するようになり、細胞生物学の研究室っぽくなってきました。が、高・多機能の顕微鏡類が身近になく、雪のキャンパスを細胞を抱えて2km歩くのはしんどい、と院生が嘆いています。が、これは気合いの入っている方で、修士の院生に世界と戦うんだ--と、問いかけて応答がないと、時々むなしくなることがあります。が、一生懸命がんばります。