藤永由佳子 Yukako
Fujinaga
大阪大学微生物病研究所附属感染症国際研究センター・
感染細胞生物学研究グループ・特任助教授 医学博士
住所:565-0871 大阪府吹田市山田丘3番1号
Tel:06-6879-4250
Fax:06-6879-4252
e-mail: yukafuji@biken.osaka-u.ac.jp
URL: http://www.biken.osaka-u.ac.jp
【略歴】
1986年北海道大学薬学部卒
1988年北海道大学大学院薬学研究科修士課程修了
1992年札幌医科大学大学院医学研究科博士課程修了
1992年岡山大学医学部細菌学教室助手
1999年~2003年米国ハーバード大学留学
2002年~2006年科学技術振興機構 PRESTOグループリーダー(兼任)
2004年大阪大学微生物病研究所細胞機能分野特任助手
2005年大阪大学微生物病研究所附属感染症国際研究センター・感染細胞生物学研究グループ独立特任助教授
【研究課題名】
ボツリヌス神経毒素複合体の宿主腸管上皮細胞バリア通過機構の解析
ボツリヌス神経毒素(分子量150k Daのタンパク質毒素)は末梢神経に取り込まれるとそのメタロプロテアーゼ活性により、シナプス小胞とシナプス前膜のfusion に必須であるSNARE蛋白質群を切断し、神経伝達物質の放出を阻害する。ボツリヌス食中毒は本毒素を経口摂取することにより発症するが、発症には神経毒素が消化管から吸収され、血中に移行し末梢運動神経に到達することが必要である。巨大な蛋白質分子である神経毒素が体内に侵入する際の最初の重要な関門は消化管上皮細胞のバリア機能である。我々は、いかにして本毒素が消化管上皮バリアを通過するのかという問題に取り組んでいる。ボツリヌス神経毒素は常に数種の無毒成分と複合体を形成した状態でC. botulinumより産生されるが、我々は無毒成分の1つが、腸管上皮細胞において神経毒素のapicalからbasolateralへの移行を著しく促進することを見出した。この輸送経路を解析することにより、ボツリヌス食中毒発症機構の解明、さらに腸管上皮細胞のバリア機能に関わる生理的な小胞輸送について理解を深めて行きたい。
【本研究に関連する代表的論文3編】
1. Fujinaga Y, Inoue K, Watarai S ,
Sakaguchi Y , Arimitsu H , Lee J, Jin Y, Matsumura T, Kabumoto Y, Watanabe T,
Ohyama T, Nishikawa A, Oguma K. (2004) Molecular characterization of binding subcomponents of Clostridium botulinum type C progenitor
toxin for intestinal epithelial cells and erythrocytes. Microbiology 150, 1529-1538.
2.
Fujinaga Y, Wolf AA, Rodighiero C,
Wheeler H, Tsai B, Allen L, Jobling M,
Rapoport T, Holmes RK, Lencer WI. (2003) Gangliosides
that associate with lipid rafts mediate transport of cholera and related toxins
from the plasma membrane to ER. Mol Biol Cell. 14, 4783-93.
3. Fujinaga Y, Inoue K, Watanabe S, Yokota K, Hirai Y, Nagamachi E,
Oguma K. (1997) The haemagglutinin of Clostridium
botulinum type C progenitor toxin plays an essential role in binding of
toxin to the epithelial cells of quinea pig small intestine, leading to the
efficient absorption of the toxin. Microbiology
143, 3841-3847.
【今一番やりたいこと・言いたいこと】
私たちはやっと立ち上がったばかりの小さな研究グループですが、毒素のtrafficを中心に面白い研究を展開して行きたいと思っています。メントラ初心者の私たちですが何卒宜しくお願い致します。研究以外では、空気のきれいな所へでもゆっくり旅行がしたいです。