藤本 豊士 Toyoshi Fujimoto

名古屋大学・大学院医学系研究科

機能形態学講座・分子細胞学分野教授,医学博士

住所466-8550名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel052-744-2000
Fax052-744-2011
e-mail: tfujimot@med.nagoya-u.ac.jp
URL: http://www.med.nagoya-u.ac.jp/cel-bio/index.htm

 

【略歴】

1978年  京都大学医学部卒,同助手

1983-85年 カリフォルニア大学サンディエゴ校ポスドク(S.J. Singer研究室)

1995年  群馬大学医学部教授

1999年  名古屋大学医学部教授

 

【研究課題名】

イノシトール燐脂質分布の定量的解析

 

 イノシトール燐脂質 (PIs)分布の解析は膜トラフィックを理解する上で重要であるが,従来用いられてきたPIs結合ドメインとGFPの融合蛋白質による生細胞の解析は,プローブ自体による人工産物の危険性がある上,空間分解能が低く,膜上での二次元的分布に関する詳細な情報は得られない.一方,通常の免疫電顕法では,化学固定できない脂質の局在を正確に決定することは困難である.我々はこれまでの研究により,急速凍結した細胞膜を白金・カーボン薄膜で物理的に固定する凍結割断レプリカを用い,糖脂質の超微局在を可視化し,定量的に解析する方法を確立した.この方法では化学固定で保持できない脂質の局在をnmレベルで捉え,空間統計学的に解析することができる.今回の研究では上記の方法を用い,PIsに特異的に結合する蛋白質ドメインとGSTの融合蛋白質をプローブとして,細胞膜および細胞内オルガネラ膜のPIsの二次元的分布を解析する.特にエンドサイトーシスや,エンドソームでの内腔小胞形成にともなうPIsの分布変動について解析する.

 

【本研究に関連する代表的論文3編】

1. Tauchi-Sato, K., Ozeki, S., Houjou, T., Taguchi, R., Fujimoto, T. (2002) The surface of lipid droplets is a phospholipid monolayer with a unique fatty acid composition.

J. Biol. Chem. 277, 44507-44512.

2. Ozeki, S., Cheng, J., Tauchi-Sato, K., Hatano, N., Taniguchi, H., Fujimoto, T. (2005) Rab18 localizes to lipid droplets and induces their close apposition to the endoplasmic reticulum-derived membrane. J. Cell Sci. 118, 2601-2611.

3. Ohsaki, Y., Cheng, J., Fujita, A., Tokumoto, T., Fujimoto, T. (2006) Cytoplasmic lipid droplets are sites of convergence of proteasomal and autophagic degradation of apolipoprotein B.

Mol. Biol. Cell 17, 2674-2683.

 

【今一番やりたいこと・言いたいこと】

 電顕は形を見るだけの時代遅れの装置と思われがちですが,実は脂質という捉えにくい分子を解析する上でものすごく重要な技術です.ポストゲノム,ポストプロテオームの主役になりそうな脂質を見るための技術を一緒に開発してみようという人はいませんか.